2016年09月21日

渋滞とモノレール

 郊外から那覇市街地へと向かう通勤ラッシュの道路渋滞は有名です。私の家からRSNまでの距離は約5キロ。出勤時には中心市街地から郊外へと向かうため、混みあう向きとは逆方向なのですが、それでも30分から40分かかります。時速に換算すれば10キロほどでしか進めません。出勤の時間帯に中心市街地から郊外へ向かう道路も混んでいる、というのが那覇のおもしろいところです。

 那覇中心市街地の求心力は失われつつあると感じています。私の周囲には那覇中心市街地へ買い物や飲食に出かける人は少なく、家や職場の近所で済ますことが多いようです。通勤ルートの沿道には、多くの商店や飲食店、事業所があります。那覇は、商業施設や職場が都心に集中する集積型の都市ではなく、あちこちに小さな集積地が点在する分散型の都市だという印象を抱くようになりました。

 通勤ルートの前半は、ちょうど沖縄都市モノレール「ゆいレール」の延伸ルートにあたります。通勤の途中、渋滞で車が動かなくなった時には、ところどころに立っているモノレールの橋脚をぼーっと眺めています。

 那覇空港駅から首里駅まで運行している沖縄のモノレールは、首里駅から概ね北東方向に約4.1キロ延長される予定となっています。延長区間の開業予定は、3年後の2019年。石嶺駅、経塚駅、浦添前田駅、てだこ浦西駅の4駅が新たに設置されます。このうち石嶺駅以外の3駅は浦添市内にあります。延伸するモノレールのインフラ部分の事業主体は、沖縄県、那覇市、浦添市の3者であり、渋滞問題に悩む那覇市は当然ながら市内へ流入する自動車交通量の削減を期待しています。浦添市にとっては、浦添前田駅が浦添市役所や浦添城への最寄り駅となり、市にとっての拠点施設が渋滞とは無縁のモノレールによって県庁や空港と結ばれるようになります。

 新たなターミナルとなるてだこ浦西駅は、沖縄本島を南北に縦断する高速道路の沖縄自動車道そばに位置しています。高速道路からモノレールへの「パークアンドライド」実現が、延伸ルート選定にあたっての最大の眼目であったと思われます。沖縄自動車道は本島の中部や北部から那覇へと車が流入する際の基幹ルートとなっており、流入する車を郊外のてだこ浦西駅で止めて自動車の利用者をモノレールに乗せることが期待されているのです。てだこ浦西駅周辺には「パークアンドライド」のための千台クラスの駐車場だけでなく、おもろまち、北中城村のイオンモール沖縄ライカムに次ぐ沖縄の新たな拠点エリアとして、商業施設や高層マンションが建設される予定となっています。新駅計画には県の観光政策も絡んでいます。那覇空港と高速道路を接続することによって、島外からの観光客が那覇市内の渋滞による影響を受けずに中部や北部のリゾートホテルまで直行可能なルートが確立されるようになるのです。

 モノレール延伸による渋滞緩和効果については、過大な期待は禁物でしょう。2003年のモノレール開業によって渋滞が劇的に緩和されたという評価は聞こえてきません。無いよりはマシ、といった程度ではないでしょうか。モノレール延伸の恩恵を受けるのは、第一に建設業者、次に観光業者、そして地権者。また増える一方の内地から沖縄への移住者の受け皿として、おもろまちに次ぐ新市街を那覇の郊外に建設する必要もあったでしょう。ただ、大規模な新市街が郊外にもうひとつ誕生すること、そして一定数の観光客が那覇中心市街地を迂回して中部・北部へ直行するようになることで、那覇中心市街地の空洞化が加速すると予想されます。

知的情報サービスセンター 平田
posted by RSN at 10:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記