RSNの西村直之代表は9月28日、沖縄県名護市にある沖縄県北部保健所において、主に精神・保健・福祉分野を担当する職員を対象とした研修会で講演を行いました。離島を含めた沖縄県北部一円より、ベテラン職員から経験2〜3年程度の新人職員まで幅広い層の保健師が聴講しました。私は記録のため、講演に同行させていただきました。
テーマは「初回面接の大切さ」。保健所では、当事者、家族、あるいは地域の関係者からの相談から被支援者との関係が始まります。支援者と被支援者との関わりのなかでは、初回面接の対応が重要であると指摘され、その認識は共有されています。具体的な体験談を交え2時間にわたった講演で西村代表は、自己紹介の重要性や支援者とクライエント(被支援者・対象者)がそれぞれの役割を明確に認識する必要があることを指摘。またクライエントと支援者との関係を、「クライエントの問題解決を求めて協働するパートナー」と定義づけて「共感的コミュニケーション」の成立を目指すべきであることを強調しました。講演のより詳細な内容をいずれ、RSN機関紙「さくら通信」の紙面において記事として紹介させていただく予定です。
私にとって今回の北部保健所への訪問は、保健所という施設に足を踏み入れる人生初の経験でした。これまでの生活では意識することのなかった保健所が地域社会のなかで果たしている役割の重要性について、あらためて認識する機会となりました。また初回面接の重要性がテーマとなった講演では、初回面接だけにとどまらず、より広い文脈で「人と関わることのすばらしさ」がその底流にメッセージとして含まれていたと感じました。たとえ福祉の現場で初回面接に「失敗」したとしても、関係性の修復はその意志と機会がある限り可能なのかもしれません。医療の現場であれ、福祉の現場であれ、そもそも人と人が関わっていくということのたいへんさや責任の重さが伝わってきただけではなく、人との出会いによって開かれる無限とも言える可能性にも気づかされた講演となりました。
知的情報サービスセンター 平田