2017年02月22日

「けものフレンズ」からの誘惑

 ぱちんこへの依存(のめり込み、遊技障害)の問題を巡っては、事態が現在進行形で流動的に動いている最中であり、従来あったような業界の閉鎖的な枠組みを越えてさまざまな主体が「語る権利」を確保しようと争っているという印象を受けます。そのためこのブログには、敢えてその渦中を避けて、「ぱちんこ」とも「依存」ともまったく関係のないテーマを挟んでみます。

 最近「けものフレンズ」というコンテンツを、ツイッターで知りました。最近のツイッターでは、「君は○○が得意なフレンズなんだね!」という、「けものフレンズ」に特徴的なフレーズが溢れ、ほかにも「すごーい!」や「たーのしー!」といった感嘆の感情を表す短いフレーズが、よく見られるようになっています。調べてみると、このコンテンツはメディアミックス作品であり、先行してスマホ向けゲーム版とコミック版が発表されていました。ブレイクのきっかけとなったテレビアニメ版は今年1月からのスタート。ここまでアニメ版がヒットするとは想定していなかった模様で、ゲーム版は昨年12月にサービスを終了していました(再開の噂も)。アニメ版は現在7話まですすんでいます。沖縄では残念ながら地上波での放送は無く、インターネットやケーブル回線で視聴する必要があります。

 その人気の理由を分析した論考が、すでにいくつも発表されています。最大公約数的にまとめると、2つの要因に集約できそうです。まず、思考レベルが動物並みであることをうかがわせるような、キャッチ―な発話です。登場キャラのほとんどが人間的な少女の外観となった動物たち(フレンズ)による発話であるため、人間的なまわりくどさや、状況的、説明的な配慮から自由です。そのため、単純な短いセリフがほとんどです。また、フレンズたちのセリフは、感情をストレートに表現しているというだけでなく、基本的にあらゆる現象に対して肯定的、ポジティブです。フレンズたちの会話は、動物園で動物を見ているときのような、ほんわかとした気持ちにしてくれます。そしてセリフには、ツイッターでのリピートに見られるように、中毒性があります。フレンズはまず、別のフレンズを承認し、褒めます。「君は○○が得意なフレンズなんだね!」という肯定のセンテンス、あるいは承認のセンテンスは、便利なネットスラングとしてすでに定着しました。「脳が溶ける」という評価が、この作品をうまく形容しているでしょう。

 社会現象となった2つ目の理由として挙げられるのが、1つ目とは真逆な理由となるのですが、作品の随所にダークな雰囲気が漂い、不穏な影が差し込むことです。舞台である「ジャパリパーク」についての謎を、記憶を失った「カバンちゃん」という作中に唯一登場するヒト(人間)とともに読み解いていくことが、基本的なストーリーとなっています。「カバンちゃん」以外のフレンズにはまったく反応しないロボットの「ラッキービースト」(「ボス」と呼ばれている)の存在や、謎が封印されているというパーク内の「図書館」など、世界観は謎に満ちています。また不穏な影としては、フレンズを食べてしまうという「セルリアン」という正体不明の存在や、「カバンちゃん」以外の人類が何らかのパンデミックによって滅亡してしまった可能性がほのめかされていることなどがあります。また2話目以降のエンディングでは、これまでに閉園し廃墟となった世界の遊園地のモノクロ画像が延々と流れるようになり、視聴者に衝撃を与えました。

 どこまでも能天気で陽気なメインキャラクター「サーバルちゃん」をはじめとするフレンズと、謎と闇に覆われた世界観のギャップが、このアニメが多くの人を惹きつけている魅力と言えそうです。「すごーい!」と、「サーバルちゃん」と同じテンションを維持して、萌えキャラだらけのユートピアとして「ジャパリパーク」をたのしむことも、人類滅亡後のディストピアとして「ジャパリパーク」に残された謎やヒントを拾い集めていくことも可能な仕掛けになっています。明るい要素と暗い要素の陰陽を組み合わせるという手法は、少年少女が登場するロボットアニメに青春期の孤独や体制間戦争のリアル、そして絶対的な死の影を持ち込んだ「機動戦士ガンダム」、さらに宗教や狂気の要素を加えた「新世紀エヴァンゲリオン」、そしてキュートな魔法少女たちに魔女への転生や永遠に繰り返される輪廻といった宿命を負わせた「魔法少女まどか☆マギカ」など、これまでにも繰り返されており、近年の人気アニメに共通する物語の構造であると言えそうです。

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 陰と陽を組み合わせた、陽気であると同時にスリリングでミステリアスだというストーリー以外にも、「けものフレンズ」の人気の理由をさらにもう1点、付け加えることができそうです。それは、「カバンちゃん」以外の登場キャラクターがそれぞれ、「○○が得意」という属性を持つ「けもの」であるということです。ネットでキャッチ―なセンテンスとして「君は○○が得意なフレンズなんだね!」が反復されているということが、登場キャラクターが「けもの」であることが人気の根源にあるということを象徴的に示しています。キャラクターとしての「けもの」はブームとなっており、このブームは「属性」によるキャラクター分類と親和性があります。

 まず「けもの/ケモノ/獣」ブームについて振り返っておきます。「けもの」的な要素を持つキャラクターを愛好する人たちを「ケモナー」と呼ぶそうです。「ケモナー」にも幅があり、その愛好の対象は、限りなく獣そのままのキャラから、ヒトにネコ耳を付けただけのキャラ(耳キャラ)や着ぐるみキャラといった限りなくヒトに近いキャラまで、擬人化度、あるいはケモノ度(ケモ度)にグラデーションがあります。2012年からはケモナー向けのコミケ「けもケット」が、また2013年からは「けもの」に関する総合イベント「JMoF(Japan Meeting of Furries)」がスタートしています。

 萌えの心性(発動契機)における「属性」の重要性については、批評家の東浩紀が新書『動物化するポストモダン』で論じており、「属性」による萌え(嗜好)を「動物化」と呼んでいます。「けものフレンズ」で爆発した「ケモナー」ブームでは、キャラの「動物化」がメタファーではなく文字通りにキャラ=動物への萌えを発動させています。ここでは属性が、例えば「サーバルちゃん」のサーバルキャットといったマイナーな動物にまで細分化されている一方で、同時に「君は○○が得意なフレンズなんだね!」と単純化されます。

 世界観ではポジティブなユートピアであると同時にネガティブなディストピア、萌えの記号/属性については動物の種類(綱/目/科/属/学名)にまで細分化されると同時に、「○○が得意」と単純化される―――このような双極性や意外性という仕掛けによって視聴者は、その世界観(意味世界)をより深く探究しようという気もちにさせられます。つまり、世界観への没入(のめり込み)という誘惑です。この仕掛けこそが「けものフレンズ」の人気の秘密ではないかと想像しています。

AGFJ 平田
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2017年01月17日

これから本格化する議論を巡る環境

 敵対的な宇宙人が地球に侵攻してくるようなことがあれば、人間同士の戦争や紛争はすぐに停止され、「地球人」として共同して宇宙人に立ち向かうことになるだろうと言われています。逆説的に言えば、宇宙人でも登場しない限り、地球から戦争は無くならないだろうと言う悲観的な予言でもあります。

 この構図にパチンコ業界をあてはめてみると、パチンコ業界を「地球」として、「宇宙人」にあたるのがカジノなのかもしれません。パチンコ業界内の「国」に相当するのが、遊技機メーカーの団体である日工組や日電協、販社の団体である全商協や回胴遊商といった業界団体。パチンコホールの団体だけでも、全日遊連、日遊協(遊技機メーカーとの横断的な団体ですが)、同友会、余暇進、PCSAとあります。もはや「国」同士で縄張り争いをしている状況にはないことは明白ですが、一致団結することは可能なのでしょうか。

 依存問題から遊技業界やカジノを見ると、事態はさらに複雑です。まず、カジノの依存問題がどのようになるのか、まだ見えていない。国の依存問題政策は、カジノだけでなく公営競技やパチンコ・パチスロなど「遊技」を包括する対策案を議論する方向ですすんでいます。遊技をカジノのような賭博とは切り離して考えている遊技業界の立場からすれば、依存問題の分野に限ったとしても、カジノ業界と同じ枠組みが遊技業界にも適応されることには抵抗感があります。だからといって、世間や政府がカジノと遊技をまったくの別物と見なしてくれるものでしょうか。

 依存問題からスタートするカジノについての議論においてパチンコ業界は、「パチンコ業界(地球)のモラルある統治は平和裡に、完璧に行われている」、「領土争いのような現象は起こっていない」と、世間と政府にアピールすることはできるでしょうか。それをジャッジするのは、これまでは業界を所管する警察であり、忠誠心の強いヘビーユーザー化したファンでした。ですがこれからの議論においてジャッジを下すのは、政府・内閣であり、校正る同省をはじめ複数の省庁にまたがる省庁であり、パチンコとは縁をもたない世間一般となります。

AGFJ 平田
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2017年01月05日

閉鎖系から開放系へ

 明けましておめでとうございます。RSNでも本年の業務を本日より再開いたしました。旧年中はたいへんお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 RSNは、「ぱちんこ依存問題相談機関」です。私たちが業務上で直接に関心を持つ領域は、パチンコ産業(パチンコ業界)と依存問題の2つとなります。依存問題の領域では、依存問題の解決を目的に活動する自助グループのほか、精神疾患として依存の問題と関わってきた精神医療(精神医学)、行政の窓口となる社会福祉・精神保健福祉の分野、そしてNPOに代表される市民活動の分野とリンクしています。さまざまな領域・分野を横断していることが大きな特徴です。私個人のことを言えば、最近の10年ほどはパチンコ産業の取材に集中していたために、依存問題の領域は新鮮で刺激的な一方で、これから勉強しなくてはならない領域や事柄が目の前に山積みとなっています。

 パチンコ産業と依存問題という2つの「業界」を見比べた場合、依存問題の「業界」は前述の通り、医療、行政、福祉、市民団体など、さまざまな分野が重層的に絡み合って成立しており、その裾野はかなり広範に拡がっていると言えます。もう一方のパチンコ業界は、他の領域からの独立性が高く、他の領域(極端に敷衍すれば一般社会)との関係性や相関性が希薄であると言えそうです。パチンコに無縁な人から見れば、パチンコ業界はブラックボックスとなっており、まるで独立した小宇宙のように見えるそうです。昨年12月のIR推進法案(カジノ法案)についての論議において、日本でいわゆる「ギャンブル依存症」をつくりだしている最大の発生源として、パチンコ産業がマスコミからだけでなく一部の依存問題「業界」からもバッシングを受けました。そのような事態を招いたのは、パチンコ産業が、多数派の日本人にとっては得体の知れない、なんだかよくわからない未知の存在となってしまっており、恐怖心や警戒心を抱かれているからであったと思われます。

 「依存症」がパチンコ産業に対するバッシングの切り口となったのは、多くの日本人にとって「パチンコ=依存症」という等式が説得力を持つようになっているという既成事実があるからでしょう。多数派の日本人にとってはパチンコに関して「依存症」以外の情報が届かない状態となっているのかもしれません。このことは、パチンコ産業からパチンコの「小宇宙」の内側にいる人たち向けの情報は出されてはいても、外側の一般社会へは効果的に発信されていなかったと解釈することができます。

 閉鎖系から開放系へと変わる――パチンコ産業の現在的な課題はここにあるのではないでしょうか。良いことも悪いことも、さまざまな情報をありのまま一般社会に向けて発信していき、乖離した小宇宙であることをやめて、一般社会へと復帰することを目指してみてはいかがでしょうか。依存の問題は、パチンコ産業を攻撃する「口実」となりました。ですがこれは、多くの人がパチンコに関して「依存症」という言葉しか情報を持たなかったからなのかもしれません。この依存の問題は、ネガティブで、しかも曖昧、かつ断片的な情報ではありますが、パチンコ産業と、その小宇宙の外にある一般社会を結びつける細い糸口ともなっています。カジノについての議論をきっかけにパチンコ「依存症」へ焦点が当てられたこの機会に、パチンコ業界は全力でこの問題に取り組み、またその取り組みを社会に発信していくべきでしょう。

 これまでもパチンコ産業は幾度もピンチをチャンスに変えてきました。業界が本気で取り組めば、今回も乗り切ることができると信じます。

AGFJ 平田
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2016年12月27日

16年の年末から17年の年始にかけてのタイミング

 カジノを含むIR(特定複合観光施設区域)推進法が15日午前1時に成立してからの2週間弱というわずかな期間に、政府は「ギャンブル依存症」対策の骨子を急ピッチでまとめています。この年末から来年初めにかけてが、パチンコ産業の未来を決める重要な時期であると考えます。このブログではその理由を述べます。

 まず前提として確認しておきたいことが2点あります。現在議論されている「ギャンブル依存症」の範囲には、カジノの「依存症」対策だけでなく、競馬、競輪、競艇などの公営競技と、パチンコ・パチスロなどの遊技への「依存症」対策が含まれているということです。このことは、「ギャンブル依存症」対策への取り組みについて言及したIR推進法の附帯決議のなかで、「カジノにとどまらず、他のギャンブル・遊技等に起因する依存症を含め、ギャンブル等依存症対策に関する国の取組を抜本的に強化する」と書かれています。この表現は文脈的に、これまで風営法により規制されてきた遊技産業の監督官庁は警察庁でしたが、今後はパチンコ産業への「依存症」についても所管するであろう厚生労働省など他の省庁が監督指導する可能性が高いことを意味しています。そのため、パチンコ産業にとってカジノに関する政策議論は、他人事ではなく直接関係することになる重要な事案です。その原型となる骨子が2017年の仕事初めまでに固まろうとしています(すでにある程度、固まっています)。

 次に確認しておきたい前提が、「ギャンブル依存症」対策の策定がIR実施法案の議論よりも優先されているということです。というのも、IR推進法の審議の過程で連立与党である公明党からの一致した賛同を得られなかったこともあり、まずは公明党が求める「ギャンブル依存症」対策を強力に推進する必要に迫られているのです。26日には「ギャンブル依存症」対策をテーマとした関係閣僚会議を開きました。また政府は年明け早々にも省庁横断組織の「ギャンブル依存症等対策室(仮称)」を設置するという情報も出ています。

 この政府が描くシナリオのまま事態が進行すれば、厚生労働省などにより定められた一元的な「ギャンブル依存症」対策の制度的な網が、遠からずパチンコ産業にもかけられることになるでしょう。その時期は、カジノの運営開始よりも先行すると予想されます。これまで風営法にある意味「守られて」、産業としての独立性を得てきたパチンコ産業が、はじめてカジノや公営競技と同じ俎上に載せられることになります。そしてこの流れは、「ギャンブル依存症」だけでなく、ゆくゆくは営業権の許認可制度(完全に合法化され、参入障壁だった風営法による縛りの消失)や税制(「カジノ税」と同じ「ギャンブル税」の一形態としての「パチンコ税」創出、つまりは税負担の強化)、そして機械や機器への規制(カジノのスロットマシンと同じ一元的な新基準の、かつて遊技機と呼ばれていた機器への適用)にまで及ぶ可能性が高い。

 パチンコ産業の「ギャンブル依存症」対策に絞れば、いまカジノの法制化にともなって新たな制度的な網がかけられようとしているのは、これまでに十分な対策を行ってきたとは政府や社会から見なされていないことが原因です。象徴的な数字が「536万人」という日本の「ギャンブル依存症」患者数です。この数字は2年以上も前の2014年8月にパチスロが主犯であると指摘されて全国紙で報じられました。ですがパチンコ産業は、それを否定する作業を怠りました。そのツケがまわってきました。カジノ推進法についての議論では、日本社会の民意を代弁したマスコミと各政党が、国会や政府に手厚い「ギャンブル依存症」対策を求めました。これまでの対策は不十分であったという社会の憤りや不安が表面化し噴出したのです。

 業界独自の対策が評価されて、これからの政策に活かされるという余地がこの段階になってもまだ残っているのか、わかりません。ですが、いま現在というタイミングは、まさに政策決定の下絵が描かれている段階です。ここでパチンコ産業が、自浄作用や産業としての自主性・自律性を社会や政府に示すことができるかどうかは、今後の産業の未来に決定的な影響を与えると考えています。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年12月19日

IR推進法案審議がもたらした「モヤモヤ感」と、それへの来るべき解消圧力

 カジノを含む統合型リゾート(IR)の実現に筋道をつける通称「IR推進法案」、あるいは「カジノ法案」が12月15日午前1時に国会で成立しました。11月30日に唐突に審議入りしたので、審議に要した時間はわずかに半月間。カジノ研究者の木曽崇氏がツイッターで逐次コメントを交えて進行を伝えてくれたため、よく整理された形で審議を見守ることができました。

 私はこのIR法案審議の過程で、すっきりとしないモヤモヤとした違和感、あるいは不快感を覚えていました。来年の2017年には、この「モヤモヤ感」を解消しようとする圧力が、政治的・社会的に大きくなると予想します。私が感じた「モヤモヤ感」の正体に目を凝らすと、3つのレベルに腑分けできることに気づきました。1つめは国会審議の過程、2つめは「ギャンブル依存症」の前景化、3つめはパチンコ業界の反応です。

 1つめの国会審議についての感想は、私はもちろん政治分野の専門家ではありませんので、一国民としての素朴な感想です。特に民進党と公明党に対する「モヤモヤ感」となります。国会審議では、衆議院での強硬可決後、民進党には議長ポストを握る参議院内閣委員会での徹底審議と徹底抗戦が期待されていたのですが、あっけなく採決に協力してしまい、審議の打ち切りと可決を許してしまいました。また、これまでの10年以上にわたる日本へのカジノ導入を巡る議論において、推進派にとっての最大の足枷となっていた連立与党の公明党が、今回は党としての意見をまとめることができませんでした。IR推進法案の成立過程には、マスコミの常套句である「議論が尽くされぬまま」「うやむやのうちに」という表現がまさにぴったりと当てはまってしまいます。

 次の「モヤモヤ感」は、カジノ法案審議を巡る国会審議やマスコミ報道で「ギャンブル依存症」、なかでも特に「パチンコ依存症」に焦点が当てられ前景化したことに対して、となります。日本の「ギャンブル依存症」についての報道では、「厚生労働省の研究班」が発表したという「成人人口の4.8%にあたる536万人」という「罹患者(?)」に関する数字が盛んに引用されました。この「536万人」は、最大規模のファン人口を擁し売上を出している既存「ギャンブル」のパチンコ産業が主に生み出したものであると説明され、東日本大震災以来の大きな拡がりでバッシングが繰り返されました。

 最後の「モヤモヤ感」のレベルは、カジノが日本に導入されることが決まり、また「ギャンブル依存症」の主犯とされてパチンコへのバッシングが拡がったにもかかわらず、パチンコ業界がカジノ議論は他人事であるかのように泰然として構えているように見えたことです。

 以上、3つのレベルの「モヤモヤ感」のうち、RSNという「ぱちんこ依存問題相談機関」に身を置く現在の私に直接かかわってくるのは、2つめの「ギャンブル依存症」についての議論です。「ギャンブル依存症」あるいは「ぱちんこ依存問題」については、ここでの前のブログエントリーで書いたように、実態がまだよくわかっていない、いわばグレーな存在です。論者の立ち位置によって、白に近づけて無害だと主張することも、黒と見なして断罪することも許容するようなグレーな箇所を争点化することで、反対論者からの攻撃をかわす足場を確保しながら相手を攻撃することが可能となります。グレーなものを「黒」と言っても、相手は明快に反論できませんし、グレーなままに放置していたことも相手側の瑕疵となります。「536万人」という象徴的な数字を持つ「ギャンブル依存症」や「パチンコ依存症」への恐怖が、カジノという未知なるものへの漠然とした国民の恐怖とすり替えられました。

 ただし、グレーな存在は前景化した瞬間から、グレーなままでいることを許されなくなります。パチンコ産業には、釘問題と換金問題という2つのグレーだった問題があり、業界メディアにとってはいわばタブーとされ言語化が避けられてきました。メーカー側の関与が疑われた釘問題については、一連の「遊技くぎ」問題の「落としどころ」として約72万台が撤去されることにより、「黒」だったが決着済みの案件として業界的には処理されました。また換金問題については「承知している」、すなわちはっきりと「白」と見なすという政府の答弁書が、IR推進法案審議入りの直前という「偶然」と言うには出来過ぎのタイミングで国会に出されています。そのため、三店方式についてグレーな点の残るホールには、早急に「白」として実態を整備することが要請されています。IR実施法案の整備される2017年には、「ギャンブル依存症」「パチンコ依存症」に白黒の判定をつけようとする動きがすすむでしょう。すでにいくつかの機関・団体が、実態調査に着手する、あるいはすでに準備をすすめているとアナウンスしています。

 これまで、風営法下にあるパチンコ産業の所管官庁は警察庁のみでした。ですが「ギャンブル依存症」の問題は今後、パチンコなどの「遊技」と公営競技を含んだ「ギャンブル等依存」への対策として、厚生労働省が一括して所管することになりそうです。またこの「ギャンブル等依存」に関わる制度設計がIR実施法案策定の過程と一体化して行われれば、観光庁を傘下に持つ国土交通省や、民間企業を監督する経済産業省との調整も必要になると予想されます。内閣府の直轄案件であれば、国家公安委員会・警察庁とともに消費者庁が表に立つかもしれません。またさらに、財務省国税庁管轄の税体系についての議論では、カジノからの税収の延長線上に「パチンコ税」が創設される可能性もあります。パチンコ産業は、警察庁の意向をうかがうだけでは済まなくなり、日本社会全体を意識することが要請されるようになります。パチンコ産業にとってIR推進法の成立は、そのような歴史的な意味を持っていたと言えます。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年12月07日

これまでのギャンブル依存問題が持っていた「ややこしさ」

 カジノを含む統合型リゾート(IR)を整備するための推進法案が今月6日、衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。カジノ解禁に対する最大の懸念材料として反対派から提出されているのが、ギャンブル依存の問題です。インターネット上では、カジノそのものについての議論以上にギャンブル依存の問題について、それぞれの立場から多くの意見が提出され、モニターしているだけでたいへん勉強になりました。

 合法的な賭博としてカジノが登場すれば、それとセットでギャンブル依存の対策が登場することになります。これからギャンブル依存の問題について、本格的な議論が始まろうとしています。

 ところで、これまでギャンブル依存の問題には、いくつかの「ややこしさ」があって、活発な議論が行われにくい状況にあったと思っています。それはなぜか。私なりに整理してみます。

 まず前提として、これまで日本のギャンブルへの依存問題は、パチンコ・パチスロへの依存問題に集中していたという事実があります。パチンコ・パチスロが「ギャンブル」なのかどうかについての議論をいったん棚上げするとして、参加人口の規模でも投資金額の規模でも、パチンコ産業が圧倒的なシェアを占めてきたためです。また、競馬、競輪、競艇、オートレースと分かれ、監督官庁も設置主体もバラバラな公営競技とは違ってパチンコ・パチスロ産業は、警察庁を監督官庁として風営法により規定され、さらに業界団体が活発に活動しているという、産業としての一体性があります。そのため、日本においてこれまでギャンブル依存の問題に向かい合ってきたのは、パチンコ産業であると言えるでしょう。ここからは、これまでの日本のギャンブル依存の問題を引き受けざるを得なかったパチンコ・パチスロへの依存問題に特定して整理してみます。

 パチンコ・パチスロへの依存問題についての「ややこしさ」のひとつには、「立場表明」が求められがちだという状況があります。もうひとつの「ややこしさ」は、この問題について発言し、あるいは関わる人たちの専門分野や活動分野がさまざまであり、対話を成立させる共通言語が生まれにくかったということがあります。

 まず、「立場表明」について。発言者あるいは関与者に求められる主な「立場表明」には、@「パチンコは、刑法が禁じる『賭博』である/ない」という法解釈的な立場、A「パチンコへの依存は、『依存症』という病気(疾病)である/ない」という医療診療の見地によって分かれる立場、B「パチンコは社会にとって必要な娯楽である/ない」を問い、パチンコそのものの存在を許容するのか、あるいは社会から排除すべきと考えるのかという社会思想的な立場の3つがあります。これらの立場を鮮明にした方が議論はスムーズに始められますが、反対派からの攻撃にさらされる可能性が生まれます。

 次に発言者や関与者の専門分野や活動分野について。主な専門分野や活動分野には、@いわゆる「ギャンブル依存」(ギャンブリング障害)を診療する精神医療の専門家、すなわち精神科医、A精神保健福祉士や社会福祉士といった国家資格を得るための方法論に準拠する行政や民間の援助職者、Bギャンブル依存の問題に先進的に取り組んできたGAやギャマノンに代表される相互援助グループや家族会など市民団体、C独自の対策を行ってきたパチンコ業界の4つがあります。専門分野や活動分野が違えば、世界観や言語体系、前提となる知識が異なるために、生産的な対話は生まれにくい状況となりがちです。

 推進法が成立すれば、来年の1年をかけて、具体的な実施法が議論されることになります。そこでは当然、特に重要なテーマとして、ギャンブル依存への対策が焦点となります。議論の場では、カジノだけでなく、既存のパチンコ・パチスロや公営競技への依存対策も採りあげられることになるでしょう。この機会に、これまでのギャンブル依存の問題が抱えていた「ややこしさ」が解消されて、問題を抱える人たちに寄り添った議論が積み重ねられることを期待したいと思います。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年12月01日

中間の言葉

 今回は(今回も?)個人的なことを書きます。すみません。

 沖縄についてのテキストで特に印象に残っているのは、大阪出身でウチナーンチュ二世の仲村清司が書いた、「沖縄は、表層だけを語ると叱られるし、深入りすると火傷する」という表現です。近著の『消えゆく沖縄』でも、このフレーズは繰り返されていました。

 この仲村と、沖縄をアジアの文脈に位置づけた旅行作家の下川裕治、そして沖縄の出版社であるボーダーインクの新城和博の3人が、沖縄をポップで軽い文体のテキストを使って表現し始めました。1990年代後半のことです。特にボーダーインクの雑誌「ワンダー」は、沖縄に来るたびに夢中になって読みました(2005年に休刊)。

 この頃に私のなかでもうひとつの「沖縄」像を形づくったのが、新崎盛暉らの雑誌「けーし風」でした。この雑誌や新崎らの本から、基地問題をはじめとする政治的、あるいは社会的な問題について学びました。仲村らのテキスト群と新崎らのテキスト群は、沖縄についての表現の「軽み」と「重み」の両極にありました。私のなかで沖縄はいつも重いテーマでありつづけています。住んでみたいけれど、うかつに触れると大火傷しそうな場所です。そんな沖縄を軽く表現して見せる仲村たちを眩しく眺めていました。

 話題をテキストから音楽に移します。音楽の世界では、内地での「沖縄ブーム」はテキストよりも5年ほど先行していました。1990年代の初め頃、照屋林賢のりんけんバンドや知名定男プロデュースのネーネーズらが、セゾン系列「WAVE」などのCDショップで当時のワールドミュージックブームの流れで紹介され、私も聴き始めました。沖縄民謡の影響を色濃く残した音楽です。

 その対極に、初期のBIGIN、安室奈美恵と彼女につづく沖縄アクターズスクール出身者の芸能界への輩出、そしてすこし後になりますが、ORENGE RANGEなどインディーズから火が付いたバンドの登場があります。沖縄らしさを意識しない(意識させない)沖縄発の音楽です。沖縄にまつわる音楽の流れにおいて、民謡と現代ポップスの中間を埋める役割を果たしたのが、宮沢和史・THE BOOMの「島唄」でした。宮沢は、この「島唄」のヒットによって沖縄の音楽界からさまざまなバッシングを受けたと、繰り返し語っています。この曲は私に、沖縄、あるいは「他者」を表象することのむずかしさ、そして可能性に、あらためて気づかせました。

 話題をテキストに戻します。何かの業界やジャンルについての発話がなされる場合、ムラ社会の住人だけに向けたジャーゴンまみれの言説か、あるいは外部向けの意味や質量をほとんど持たない表現ばかりが生み出されているような気がしています。

 ジャーゴンという言葉には、専門用語という意味のほかに、脳機能障害による失語症という意味もあるそうです。沖縄にようやく移り住むことになったのは、失語症に陥ってしまわずに、「軽み」と「重み」を強く意識せざるを得ない場所に身を置いてみて、その中間にある言葉をさがしてみたくなったから、なのかもしれないなあと思っています。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年11月18日

増えるミッドナイト競輪

 パチンコ産業だけでなく、範囲を広げてギャンブリング・ゲーミング関連のニュースをチェックしています。最近、気になったのが、いくつかの競輪場が新たにミッドナイト競輪を始めるというニュースがつづいたことでした。

 ミッドナイト競輪とは、ナイター競輪終了後の21時から23時あるいは24時頃までに、観客をひとりも入れない競輪場で行われる競輪のこと。試合の様子をインターネットで視聴できます。2011年に小倉競輪場からスタートし、前橋、青森、高知、佐世保とつづき、今年に入って玉野と奈良でも始まりました。さらに12月13日からは武雄が、来年1月8日からは西武園がスタートします。また、日程はまだ決まっていないようですが宇都宮が1月からの開催を予定し、弥彦も2017年度の開催を目指し準備しているようです。西武園が開催するとミッドナイト競輪の場数は9場。すでにほぼ毎日通年で開催できるだけの競輪場が揃いました。開催日は、1日に2場で開催される場合を2日とカウントすると、2015年度の225日から、2016年度には上期だけで171日に増えています。無観客でレースを開催し、競輪場では車券を販売しないため、最小の経費で開催が可能です。競合する公営競技の行われていない時間に全国のファンがインターネットで投票するため、各場の収益改善に大きく貢献しています。

 競輪の売上は、ピークとなった1991年度から2013年度まで、22年間にわたって減少しつづけました。1991年度には1兆9553億円あった売上は、2013年度に6063億円にまで減少。ピーク時の約3割です。ですが2014年度に売上が23年ぶりに好転。その原因となったのが、インターネット投票でした。

 競輪の車券販売は、競輪場(本場)、「サテライト」などの名称を持つ場外(別の公営競技との相乗りを含む)、そして電話・インターネット投票の3種類に大別できます。本場での売上額と販売比率は一貫して減少しつづけており、1991年度には80.3%あった総売上額に占める販売比率を2013年度には8.6%に減らしました。場外での売上額はほぼ横ばいで推移したため、販売比率は増加しました。売上額を増加させ2014年度以降の総売上を増加させたのが電話・インターネット投票、特にインターネット投票です。極論を言えば、本場での販売比率が1割にも満たない現状が改善しないのであれば、経費削減のために日中のレースも観客を入れずインターネット中継だけにしてしまった方が利益を確保できそうです。

 賭式の高配当化も、売上額の増加に貢献しました。女性選手によるレースが注目を集めていますが、本場への来場者の増加に結び付いているかは疑問です。「賭け、配当を受け取る」という行為以外が削ぎ落されているような気がします。競輪場に足を運び、レースをほかの観客と一緒に直接観戦し、時間と空間を共有するというリアルな体験が競輪から消え去る日が、いつか来るのかもしれません。地方自治体の財政と自転車産業の振興に寄与するという目的を措くならば、レースを日本国内で開催する必要はなくなり、生身の選手による実際のレースである必要すらなくなるでしょう。私たちはどうやら、公営競技の大きな転換期に居合わせているようです。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年11月07日

沖縄にも秋到来

 最近、夜や明け方の最低気温が20度から22度あたりまで下がるようになりました。日差しが無く、風の強い日には肌寒ささえ感じます。2週間前までクーラーをつけて寝ていたのですが、先週には窓を閉めて寝るようになり、この週末に急いで掛け布団を出しました。

 気温の変化とともに、空気が乾燥しました。これまでは毎日、湿度が高くジメジメとしていたのですが、最近はからりと晴れわたる日が多くなり、洗濯物がよく乾きます。日差しは相変わらず強烈ですが、湿度が低いため実際の気温よりも涼しく感じます。

 10月には毎週末のように各地で祭りが開催されていました。旧暦では9月、秋祭りです。ですが10月に入っても下旬まで夏の気候がつづいたために、秋祭りという実感は湧きませんでした。いま住んでいる首里の祭りは11月3日、文化の日にありました。首里城やその周辺では日中、「琉球王朝祭り」として再現した衣装を着た人たちが練り歩く時代行列が行われました。私たちは夜を待って、中学校の校庭で行われた各町の旗頭の競演(ガーエー)と獅子舞を見に行きました。この日まで毎夜、近所の公民館で旗頭の練習が行われていて、その太鼓と鐘の音、そして掛け声が風にのって聞こえていました。そのこともあって、自分たちの住む町の旗頭が登場するとうれしくなりました。

 沖縄には「ミーニシ」という季語があるそうです。漢字では「新北風」。夏の間の湿気を多く含んだ南風(ハエあるいはパイカジ)から突然、北風(ニシ)に変わることを指しています。ある日を境に風の向きが変わるというのは、海に囲まれた島ならではの気候の変化だと思います。風の変化と、町内の秋祭り。沖縄にも先週、ようやく秋が来ました。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年10月24日

『セントラルパーク津久見店』での取材

 先週の木曜日と金曜日の2日間、取材のため大分県津久見市を訪れました。沖縄から津久見へは、那覇空港から福岡空港までの空路とJR博多駅からの陸路を合わせて約6時間。博多駅から特急「ソニック」で終点の大分駅まで行き、宮崎行きの特急「にちりん」に乗り換えてさらに40分ほどかかります。車窓からは収穫直前の稲穂が黄金色に輝いて見え、また町のあちこちにはキンモクセイの甘い香りが漂っていました。沖縄ではまだ最高気温が30度を超える日が多いのですが、大分の秋はすっかり深まっていました。

 津久見市は大分県の南東部にあり、豊後水道に面しています。北に臼杵市と、南に佐伯市と接しています。基幹産業としては、天然の良港があり、かつ石灰岩の産地であることからセメント工業が発展。サンクイーンや清見などの柑橘類の栽培と、マグロをはじめとする漁業が盛んです。

 取材では、パチンコホール『セントラルパーク津久見店』のバックヤードにおいて、同店を運営する株式会社 セントラル カンパニーの力武一郎代表取締役社長、そして同店の櫻井店長、平島副主任をはじめとするスタッフの方々に、主に依存(のめり込み)の問題への対応について、お話をうかがいました。力武社長は、パチンコへの依存(のめり込み)をいち早く問題提起し、業界団体に働きかけてリカバリーサポート・ネットワーク(RSN)設立に深くかかわった、いわばRSN「生みの親」のお一人です。力武社長には、自店舗での依存(のめり込み)問題への対応についてだけでなく、活動開始から10年が経過したRSNの活動について、また最近のパチンコ業界についても聞いてきましたので、RSN機関誌「さくら通信」などで記事にしていきたいと思います。

 隣町の臼杵や佐伯には、九州の大手ホールチェーン企業の系列店があります。また道路事情にもよりますが、車で1時間ほどかかる大分や別府の巨大商圏にはナショナルブランドのホールチェーン企業が進出しています。ですが津久見市内のパチンコホールは現在、『セントラルパーク津久見店』1店舗のみ。地域住民に占める高齢者人口の割合が高いことを反映して、特に平日昼間の顧客には高齢者層の比率が非常に多くなっているとのことでした。

 同店における接客面での最大の特徴は、『セントラルパーク津久見店』ではスタッフの一人ひとりが「お客様リスト」をつくっているということです。リストには個々のお客様の特徴やお客様とのやり取りが書き込まれていて、その情報をスタッフ間で共有します。スタッフは、特に注意が必要だと思われるお客様については、コミュニケーションと観察を通して、パチンコやパチスロの遊技機の好みや利用する遊技料金の価格帯だけでなく、家庭環境や性格、お財布事情までを想像し、のめり込みの問題が起こってはいないかを見守ります。気軽に声をかけてもらえるような話しやすい雰囲気づくりも重要です。「店長を呼んで来い」というクレームや「出らんなー」といった愚痴があっても、それらは実はスタッフに話を聞いてもらいたいだけだった―――という時もあったそうです。

 パチンコを取り巻く環境は急速に変化しています。パチンコが勝ち負けよりも時間消費型の娯楽としての性格をさらに強めていったとき、またパチンコホールが高齢化のすすむ過疎地において、残り少なくなった人の集まる施設としてコミュニティにおける存在感を高めていったとき、パチンコとパチンコホールに期待される役割もこれまでとは変化せざるを得なくなります。

 顔認証技術や位置情報処理技術の発達によって、お客様をデータに還元し処理する技術が日進月歩の進展を見せています。ですが依存(のめり込み)の問題はデータに置き換えられたお客様像からは見えてこないのではないでしょうか。この問題は、顔の見える人格的な、そして社会的な関わりの中で像を結ぶお客様像からのみ、ぼんやりと見えてくる問題であると思われます。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年10月11日

沖縄の大衆酒場

 沖縄では最近、低価格帯の居酒屋、いわゆる「大衆酒場」が増えています。この大衆酒場ブームの火付け役となったのは、那覇・牧志の公設市場近くの「足立屋」です。宜野湾にある同名の店舗が2014年に支店としてオープンさせました。店舗責任者へのインタビューを連載するブログ「沖縄良店」によれば、店舗モチーフは東京都足立区にある居酒屋とのこと。「足立屋」は、牧志にもう1店舗、さらに与那原、沖縄市コザにも系列店を出店しており、急速に店舗数を増やしています。「足立屋」の特徴は、ドリンク・食事メニューともに価格帯が1品数百円〜500円程度と安価なこと、沖縄料理のメニューがほとんど無い一方でホッピーや電気ブラン、キンミヤ焼酎など東京の居酒屋でよく見かけるドリンクメニューが揃っていること、牧志の店舗にはドリンク3杯+料理1品で千円というお得なスタートメニューの「せんべろ」があること、などです。

 「ひとり飲み」、「昼飲み」、「立ち飲み」といった習慣が根づいていなかったこともあって、以前には大衆酒場に対するニーズは小さかったと思われます。最近になってこのジャンルの店舗が増加しつつある要因としては、経済格差の一層の拡がり、アジアからの観光客や本土からの移住者の増加による社会の構成員と価値観の多様化、職場や親族、模合などによる会合の減少による旧来の居酒屋への需要減などを指摘することができそうです。また、牧志やコザなど中心市街地のアーケード商店街が空洞化して出店へのハードルが下がりつつあることも、新規の大衆酒場の出店を後押ししているのでしょう。

 タウン誌『おきなわ倶楽部』10月号の特集は「おきなわneo大衆酒場」でした。宜野湾「足立屋」責任者の當山氏はブログのインタビューですでに店舗コンセプトを「ネオ大衆酒場」と言及しており、同店が最近の大衆酒場ブームを牽引してきたことを特集のタイトルは裏づけています。特集ページには「足立屋」以外にも、日本酒バルや立ち飲みスタイル、トロ函スタイルなど、沖縄では目新しい形態の店舗が紹介されています。

 東京に沖縄の料理店が多くあるように、沖縄に新橋や上野の大衆酒場があってもいいのでしょう。「沖縄では泡盛にチャンプルー」という『常識』が通用しなくなる日が来るのも、そう遠くないのかもしれません。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年10月05日

台風18号

 沖縄本島地方では10月3日、台風18号による「特別警報」が出されました。携帯電話には、居住地区や周辺の自治体が発する非難勧告とあわせ、マナーモードでも警告音の鳴る「緊急速報メール」が何通も届きました。「特別警報」とは、「これまでに経験したことのないような」「数十年に一度の重大な」災害が起こると予測される時に発表されると定義されています。私にとって今回の来沖で初めての台風。沖縄では、バスの運行がストップすれば、ほとんどの職場は休みとなります。この日はバスもモノレールも午前中で運行を止めたため、RSNも休みとなりました。

 夕方から風雨は本格化。翌日朝方まで大きな風の音はしていましたが、「これまでに経験したことのない」というほどではありません。翌4日の通勤時、どれほどの被害があったのかと注意しながら運転しましたが、台風の痕跡はありませんでした。

 5日付地元紙「沖縄タイムス」の記事によれば、台風18号は暴風域がコンパクトで、また進路が予想より西にずれたため、「本島中南部をかすめた程度」だったということです。ただ台風は中心部の通過地点が久米島から西にわずか30キロという進路をとったために、久米島には大きな被害が出ました。今回の出来事を受けて沖縄気象台は、「特別警報」は区域ごとに細かく発表する必要があると指摘しています。

 久米島では、電柱10本が倒れ島全域が一時停電、一部は5日にも復旧していません。基幹産業のサトウキビが全耕作地で被害を受けるなど、被害総額は報道時点で約5500万円にのぼると算出されています。今後の島の成長産業にと期待されているクルマエビの養殖にも、停電によって養殖池に酸素を供給するポンプを稼働できず被害が出る可能性があるとか。久米島は沖縄本島から西に約100キロ。人口は8126人(8月末現在、久米島町HP)。実際の被害状況はどうだったのか。復興のための支援は迅速に必要なだけ届けられるのか。ボランティア受け入れの態勢は整うのか。支援は継続的なものとなるのか。いつか実際に足を運んでみたいと思います。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年09月30日

沖縄県北部保健所での講演

 RSNの西村直之代表は9月28日、沖縄県名護市にある沖縄県北部保健所において、主に精神・保健・福祉分野を担当する職員を対象とした研修会で講演を行いました。離島を含めた沖縄県北部一円より、ベテラン職員から経験2〜3年程度の新人職員まで幅広い層の保健師が聴講しました。私は記録のため、講演に同行させていただきました。

 テーマは「初回面接の大切さ」。保健所では、当事者、家族、あるいは地域の関係者からの相談から被支援者との関係が始まります。支援者と被支援者との関わりのなかでは、初回面接の対応が重要であると指摘され、その認識は共有されています。具体的な体験談を交え2時間にわたった講演で西村代表は、自己紹介の重要性や支援者とクライエント(被支援者・対象者)がそれぞれの役割を明確に認識する必要があることを指摘。またクライエントと支援者との関係を、「クライエントの問題解決を求めて協働するパートナー」と定義づけて「共感的コミュニケーション」の成立を目指すべきであることを強調しました。講演のより詳細な内容をいずれ、RSN機関紙「さくら通信」の紙面において記事として紹介させていただく予定です。

 私にとって今回の北部保健所への訪問は、保健所という施設に足を踏み入れる人生初の経験でした。これまでの生活では意識することのなかった保健所が地域社会のなかで果たしている役割の重要性について、あらためて認識する機会となりました。また初回面接の重要性がテーマとなった講演では、初回面接だけにとどまらず、より広い文脈で「人と関わることのすばらしさ」がその底流にメッセージとして含まれていたと感じました。たとえ福祉の現場で初回面接に「失敗」したとしても、関係性の修復はその意志と機会がある限り可能なのかもしれません。医療の現場であれ、福祉の現場であれ、そもそも人と人が関わっていくということのたいへんさや責任の重さが伝わってきただけではなく、人との出会いによって開かれる無限とも言える可能性にも気づかされた講演となりました。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年09月21日

渋滞とモノレール

 郊外から那覇市街地へと向かう通勤ラッシュの道路渋滞は有名です。私の家からRSNまでの距離は約5キロ。出勤時には中心市街地から郊外へと向かうため、混みあう向きとは逆方向なのですが、それでも30分から40分かかります。時速に換算すれば10キロほどでしか進めません。出勤の時間帯に中心市街地から郊外へ向かう道路も混んでいる、というのが那覇のおもしろいところです。

 那覇中心市街地の求心力は失われつつあると感じています。私の周囲には那覇中心市街地へ買い物や飲食に出かける人は少なく、家や職場の近所で済ますことが多いようです。通勤ルートの沿道には、多くの商店や飲食店、事業所があります。那覇は、商業施設や職場が都心に集中する集積型の都市ではなく、あちこちに小さな集積地が点在する分散型の都市だという印象を抱くようになりました。

 通勤ルートの前半は、ちょうど沖縄都市モノレール「ゆいレール」の延伸ルートにあたります。通勤の途中、渋滞で車が動かなくなった時には、ところどころに立っているモノレールの橋脚をぼーっと眺めています。

 那覇空港駅から首里駅まで運行している沖縄のモノレールは、首里駅から概ね北東方向に約4.1キロ延長される予定となっています。延長区間の開業予定は、3年後の2019年。石嶺駅、経塚駅、浦添前田駅、てだこ浦西駅の4駅が新たに設置されます。このうち石嶺駅以外の3駅は浦添市内にあります。延伸するモノレールのインフラ部分の事業主体は、沖縄県、那覇市、浦添市の3者であり、渋滞問題に悩む那覇市は当然ながら市内へ流入する自動車交通量の削減を期待しています。浦添市にとっては、浦添前田駅が浦添市役所や浦添城への最寄り駅となり、市にとっての拠点施設が渋滞とは無縁のモノレールによって県庁や空港と結ばれるようになります。

 新たなターミナルとなるてだこ浦西駅は、沖縄本島を南北に縦断する高速道路の沖縄自動車道そばに位置しています。高速道路からモノレールへの「パークアンドライド」実現が、延伸ルート選定にあたっての最大の眼目であったと思われます。沖縄自動車道は本島の中部や北部から那覇へと車が流入する際の基幹ルートとなっており、流入する車を郊外のてだこ浦西駅で止めて自動車の利用者をモノレールに乗せることが期待されているのです。てだこ浦西駅周辺には「パークアンドライド」のための千台クラスの駐車場だけでなく、おもろまち、北中城村のイオンモール沖縄ライカムに次ぐ沖縄の新たな拠点エリアとして、商業施設や高層マンションが建設される予定となっています。新駅計画には県の観光政策も絡んでいます。那覇空港と高速道路を接続することによって、島外からの観光客が那覇市内の渋滞による影響を受けずに中部や北部のリゾートホテルまで直行可能なルートが確立されるようになるのです。

 モノレール延伸による渋滞緩和効果については、過大な期待は禁物でしょう。2003年のモノレール開業によって渋滞が劇的に緩和されたという評価は聞こえてきません。無いよりはマシ、といった程度ではないでしょうか。モノレール延伸の恩恵を受けるのは、第一に建設業者、次に観光業者、そして地権者。また増える一方の内地から沖縄への移住者の受け皿として、おもろまちに次ぐ新市街を那覇の郊外に建設する必要もあったでしょう。ただ、大規模な新市街が郊外にもうひとつ誕生すること、そして一定数の観光客が那覇中心市街地を迂回して中部・北部へ直行するようになることで、那覇中心市街地の空洞化が加速すると予想されます。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年09月12日

かりゆしとアロハ

 ハワイのアロハシャツが好きで、古着屋をまわって買い集めています。沖縄に来て、かりゆしウェアと出会いました。その素敵なデザインに惹かれましたが、古着のアロハと較べれば割高。今回沖縄に来るまで、かりゆしは1着しかもっていませんでした。

 かりゆしは、夏の沖縄の正装として定着しています。県が普及を推進してきたという経緯もあり、公官庁職員のほとんどは、かりゆしを着用しています。銀行をはじめとする民間企業でもかりゆしです。祝宴用や喪服用もあるそうです。

 沖縄の職場に、かりゆしの代わりにアロハで出勤することは許されるのでしょうか。焦点となるのは、かりゆしとアロハを分類する境界線がどこにあるのか、という点です。出勤前に「このアロハは、かりゆしに見えないだろうか」と悩む日々がつづいています。

 県のホームページには、かりゆしの定義として「沖縄県産であること」と「沖縄らしいデザインであること」の2点が挙げられています。かりゆしとアロハの判断基準として視覚的に機能するのは、2点目の「沖縄らしいデザイン」となります。

 色彩のトーンや柄のプリントでは一般的に、かりゆしの方がアロハより比較的落ち着いていると言えるでしょう。基調色には、男性用では白やベージュ、紺、グレイ、淡いピンクや黄緑が多く使われています。柄には基調色と同系色か、白や黒が多く用いられます。かりゆしの柄としてもっとも多く選ばれているのが植物です。特に葉の意匠を多く見かけます。ポピュラーなハイビスカスの花のデザインであっても、シルエットとして描かれていることがほとんどです。

 ですが先日、郊外のスーパーで、裾にぐるりと城(グスク)の石垣、その上でシーサーが踊り、寒緋桜が咲き乱れるというデザインのかりゆしを見つけ、購入しました。沖縄らしいのですが、地味とはとても言い難く、スカジャンのデザインにも通じるところがあります。このデザインより派手なアロハは、なかなか見つけられないでしょう。

 これから徐々に、かりゆしのコレクションを増やしていこうと思います。かりゆしでの出勤は、沖縄の職場が持つ魅力のひとつです。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年09月07日

「引越し」と「移住」

 はじめまして、平田です。9月よりRSNのメンバーに加わることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。大阪からRSNのある沖縄に引越ししてきました。

 県外から沖縄への引越し荷物は、トラックや列車ではなく船で運ばれてくることになります。大阪からは1週間かかりました。昨日ようやく荷物が、首里の新居に届きました。

 沖縄への引越しを大阪や東京の知人に話すと、「よく決断したね!」とか「うらやましい」など、大げさとも思えるリアクションが返ってきます。沖縄への引越しという決断には、他県への引越しと比べてかなり高いハードルを乗り越える必要があると考えられているようです。

 沖縄への引越しを表現するとき、単に「引越し」と言うのではなく、「移住する」という言葉がより頻繁に選ばれています。例えば北海道・札幌への引越しに、「札幌へ移住する」と言う人はいないでしょう。日本国内では、沖縄が引越し先であった場合にのみ、「移住する」と表現することが多いようです。

 「移住する」という言葉の意味を調べると、「『定住する』あるいは『永住する』という不退転の決意を伴って生活の拠点を完全に移すこと」とありました。そのような大げさなニュアンスを避けたい私は、「沖縄へ移住する」と言わず「沖縄へ引越しをする」と言っていました。

 ですが、ある若い世代のブログのなかで、「『移住』という言葉は最近、地方創生(再生)やUターン・Iターンが選ばれやすい風潮のなかで『新たな暮らしのチャレンジ』として“軽み”を帯びて使われる」ようになり、「ファッション化しつつある」と指摘されているのを沖縄に来てから見つけました。そのブログではさらに、「移住」という表現が過去に帯びていた“重さ”は「移住」が「若者というよりは、リタイア前後の人たちの決死の選択肢」であったためではなかったかと考察しています(大見謝将伍「ハチナナ・ハチハチ」)。なるほど、そうではあるならば私も、「沖縄へ移住しました」と、ためらうことなく言うことができそうです。

 これから始まる沖縄生活を、いくつものチャレンジを盛りこみながら、たのしみたいと思います。

知的情報サービスセンター 平田
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2016年07月29日

台風が少ない今年…

 今年は本当に台風が少ないです。
毎日穏やかな沖縄です。海は静かです。
とても不思議な感じです。
 波がなくて困っている人もいるみたいです。
台風が来ないと沖縄感がありません…
なんだか物足りないかんじです。

相談部 杉山
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2016年07月26日

さくら通信7月号完成

 暑い日が続いてフラフラな相談員です。
さくら通信7月号も完成し皆様のお手元に
そろそろ届いている頃かと思われます。
毎月作成するのは結構大変なんです。

8月号は何を取り上げるか考えるだけでも
憂鬱になります…
さあ、がんばって8月号作成準備に取り掛かろう…

相談部 杉山
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2016年07月08日

7月の沖縄勉強会告知

 依存の問題に携わる方を対象にした勉強会を毎月第三土曜日
に開催しております。7月の勉強会は16日(土)に開催します。
参加希望の方はRSNまでご連絡下さい。
 7月の勉強会は、宜野湾市大謝名にありますワーカーズホーム
にて開催します。(問題を抱えた本人・家族は対象ではありません)

【日程】 7月16日(土) 10:00〜12:00
【場所】 ワーカーズホーム
     沖縄県宜野湾市大謝名4-6-28 
【問合せ】 RSN 098-871-9671(平日9:00〜17:00)

相談部 杉山
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2016年07月01日

7月始まりました。

 今日から7月がスタート、毎日暑い日が続いています。
台風がまったく発生していません。こんな年は物凄い大きな
台風が来るようです。少々心配です。
 今年はどんな夏になるのでしょうか?
沖縄の長い夏が始まりました。

相談部 杉山
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